カフェニオン

1月にギリシャに行った時は、アテネの友人に会うことがメインテーマでした。
そのため、クレタ島の友人は留守で会えず、いつも行っている村にも行くことが出来ませんでした。
で、今回は会えなかった友人と村訪問が最優先課題。
詳細は後日、書くことになると思いますが、村訪問に際し、若干のトラブル発生。
d0042214_23152714.jpgこのK村はイラクリオンからバスで2時間ほどの山間部にあります。
バスはウィークデイに一日一本。
そのバスに乗り損ねてしまったのでした。
で、その後に来る途中の大きなA村行きのバスに乗り、そこからタクシーでK村まで行くことに。
いつもはタクシーか村まで行くバスに乗っていたのでA村に立ち寄ったのは初めての経験。
K村のお母さんの指令により、A村にある市庁舎の前でタクシーを探すことにしました。
バスを降りてだらだらと下ると市庁舎がありましたが、その周辺にタクシーの気配はありません。
クレタ島の田舎に慣れた私とは言え、初めての村での人々の視線はきついものがありました。
お母さんに電話しようか…と思いましたが、いつまでも甘えていてはいかん、と思い切って市庁舎の向かい側のカフェニオンに向かいました。
ギリシャではカフェニオンは基本的に男性の憩いの場、女性はあまり見かけません。
狭い間口の店の奥に一人の年配の女性がトランプを広げていました。
この方がこのカフェニオンのご主人に違いない、と当たりをつけ、声をかけました。
「タクシーを探してるんですが…」
「どこまで行くの?」
「K村まで」
この方、とても無表情でしかも恐い顔(失礼)。
「ちょっと待ってて」
そばにいた男性に「タクシーを探してるんだって、○○のとこはどうかしら?」と言いながら電話を掛け始めました。
「K村まで行きたいっていう女性がいるんだけど、あんた行ける?今、どこ?うちのカフェニオンにいるわ。じゃ、待ってるわね」
私は電話代のために小銭を握り、電話が終わるのを待っていました。
「今、来るからそこに座って待ってなさい。何、飲む?ご馳走するわ」
この間、彼女の表情は一切変わりません。
耳を疑いながら「あのこれ、電話代に…」
「そんなのいいから。何を飲む?コーラ?オレンジジュース?」
「あの、じゃ、オレンジジュースを…。ありがとうございます」
「ここで働いてるの?ここの人と結婚してるの?K村に一人で行って大丈夫なの?」
「ただの観光客です。K村に友人がいて何度も来てるんです。こちらの村に寄ったのは初めてですが、大きな村ですね」
全く変わらない表情でジュースを出してくれた彼女との会話はまた選挙の話題に。
「明後日、選挙があるのよ」
「どこを支持しているんですか?」
「私はND」
「良い政党だと思いますか?」
「習慣みたいなものね。こんな田舎のことをきちんと考えてくれる政治家はいないわ。どっちが勝ってもここに影響はないと思う」
この時、タクシーが到着。
「ほら、来たわ。気をつけてね」
もう一度、電話代と飲み物代を差し出す私の手を押し返す彼女の表情は最後まで変わりませんでした。
山間部のこの地域は、観光客を呼ぶには魅力が薄く、農業、牧畜が主な産業です。
そのため、村を離れて都会に移る若者が多く、過疎化、高齢化が進んでいます。昨年は地方自治体の再編成があり、抗議運動もあったようです。
正確にいくつの村がこの地方自治体に属するのか、分かりませんが、少なくとも3つの村が属しており、合計有権者数は2,742名。この中には都会に移っても登録を移していない人も多くいます。

今日、誕生した福田自民党新総裁が「何とかしなくちゃいけませんね」と農村部の住民に語りかける画像を見て、何とかって何だろう…とギリシャの村とΑγαπη(アガーピ 愛)と言う名の女主人の顔を思い出しました。
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by kranaA | 2007-09-23 23:31 | Trackback | Comments(6)
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Commented by marri at 2007-09-24 07:31 x
なにか、小説の一部分を読んでいるような錯覚に陥りました。
バスに乗り遅れた為に起きる、一寸したハプニングが獲っても興味深く描かれています。
この女主人は私の性格、行動とそっくりです。旅の人、行きずりのひとにこういった事をする私です。母がそうでした。ニコリともしないで当たり前に接待の出来る人でした。私はヘラヘラ笑って、質問して、輪の中に入れて喋るでしょうね。
どっちにしても・・・会話がたくみで、行動力のある貴女の事が十二分に伝わってきました。今後のお話ももっともっと、聞きたくて展開が待たれます。この旅の大きな目的に一歩ずつ近づいていってますね?
Commented by kranaA at 2007-09-24 20:52
marriさん、ありがとうございます。文章が長くなってしまいましたが、このアガーピさん、とても印象深く、ギリシャの田舎の女性を象徴している気がしてご紹介しておきたかったのです。
marriさんのお母さんに似ていらっしゃるとは、嬉しい驚きです。男性の場合、親切にしてやってるぞ、と言う押し付けがましさを感じることが多いのですが、こういう素っ気無い心遣いの方が思い出に残りますね。
私は行動力がなくて本当は一箇所にじっとしていたい方なんです。でも回りの人が私の希望を叶えようとしてくれるのに応える為に頑張りました。
Commented by fracoco at 2007-09-25 22:10 x
kranaAさん、お帰りなさい!
私も、記事を拝見していて、小説の一節をよんでいるような気持ちに
なりました。
学生の頃、沢木耕太郎の「深夜特急」にはまったのですが、
ユーラシア大陸を横断していた沢木氏が、ヨーロッパへ至り、
ペロポネソス半島に差し掛かるシーンを髣髴としました。
やはり、現地の人との邂逅があって・・・。
それにしても、まだまだ、こういう方がいるのですね。
素っ気無くて、親切で・・。
Commented by kranaA at 2007-09-25 23:08
fracocoさん、先日はローマ字でご迷惑なコメント失礼しました。
下手くそな文章で長々と書くほどのエピソードではありませんが、こういう一瞬の人々との出会いを記録しておきたくて書いてしまいました。
こういう出会いはどの方の旅にも、いくつもあるのでしょうね。人間ていいなって、言葉が通じない分、余計な気遣いがなくて素直に思えました。
Commented by unntama01 at 2007-10-03 00:43
なんだか温かいですね。
無表情な奥様でも旅行客にはwelcomeな精神がとんとも片田舎な感じがします。トラブルでも人の優しさに触れる事が出来て良かったですね。
ちなみに、これはギリシャ語で話されてるんですよね?
Commented by kranaA at 2007-10-03 01:04
unntamaさん、今回、さらっといい感じの出会いがたくさんありました。
田舎の方たちは親切だけどシャイですね。この方と出会うまで、気になって仕方なくてうずうずしてるおじちゃん達が1ダースはいました^^
えーと、ギリシャ語なもので、勘違い、脚色、記憶違いなどがあるかもしれませんが、ご容赦ください。